【感想】森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(KADOKAWA、25版2018年)Kindle版¥473(2021/02/23時点)

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森見登美彦さんってこんな小説も書けるんですか!?!?!?(失礼)

丸屋は森見さんの『夜は短し歩けよ乙女』『新釈 走れメロス』を拝読している。腐れ大学生が暗躍する、あの京大的カオスな世界観が大好きである。今回もそうだと思って読み始めたら、途中で筆者が誰なのか何度か忘れてしまった。

この小説をイメージの羅列で表すなら夏休みの青、コーラの炭酸、綿密なノートを基にした研究、ペンギンをはじめとした動物たちや奇妙な自然現象、あとおっぱい…だろうか。

軽いあらすじを。小学4年生のアオヤマは、利口な少年だ。日々身の回りを観察したり、街を探検して発見したことをノートに整理し、研究を進めている。そんなある日、街にペンギンが現れる。他にも不思議な現象が起こって、アオヤマは友人のウチダや、クラスメイトのハマモトとともに探検隊を組織し、調査を進めていく。その謎には、アオヤマが(恋と思わぬまま)心惹かれている歯科助手のお姉さんが大きく絡んでいるようだった。

ここからは丸屋の感想をずらりずらり。もちろん、ネタバレがあります。

◯アオヤマとお姉さんの関係について。2人は小学生と大人で、年齢という超えられない壁を挟んでいる。しかしアオヤマは研究に対して静かな情熱の炎を燃やしていて、これは歳を重ねても変わらず、むしろ大きくなっていくだろうと思う(彼は大人になるまでの日数を数えていて、懸命に研究して立派な人になるのだ、と誓っている。しかもその誓いを有言実行して、毎日コツコツと研究を積み重ねている)。そしてお姉さんは秘密も多く、いつもからかうような態度をとりつつも、少し不安定な部分なところがある。アオヤマは優れた観察眼で、小4ながらお姉さんの様子に気づいてあげられている。この2人だから特別な関係は成り立っていると思うし、アオヤマはお姉さんを時間がかかってでも、救えるのだろう。

それとは別に、未成熟な部分と成熟した部分がちぐはぐにアオヤマを構成しているのがとてもおもしろかった。少年、それは恋だよ。あれも恋だよ。好きな人は特別に思えたり、ついいじわるをしてしまうものなのさ。

◯この作品はフィクションで、彼もまた父に教わっているとはいえ、まさか小学4年生に研究の姿勢を教わるとは思わなかった。「毎日の発見を記録しておくこと」(9頁)、三原則…「問題を分けて小さくする」「問題を見る角度を変える」「似ている問題を探す」こと(77頁)「本当の問題は何か」を知ること(95頁)。行き詰まったら大きい紙に全部書き出し、俯瞰的に見られるようにして、発見同士のつながりをずうっと考えること。(307頁)見習う。

◯本を読むことは、人を知ることだけでなく、自分を知ることでもある。私は新しい街が好きで、整理する過程と結果が好きで、青春が好きで、だからこの作品が好きなのである。コミカライズ・映画化もされている。想像力に任せるのも楽しいが、画にするとよく映えるだろうな。是非みてみたい。

 

というわけで今日はここまで。『ペンギン・ハイウェイ』でした。

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