【紹介】アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』


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ダークな社会的問題を取り上げ、名だたる映像作品を作ってきた野島伸司さんが、ついにアニメへ進出した。原案・脚本を担当されている。Cloverworksによる作画はぬるっぬる+ダイナミックに動くハイクオリティで、最近勢いを増す実力派若手声優4人がメインキャストに据えられている。まるで映画のようなTVアニメシリーズ。個人的には、今クールの覇権候補だと思う。

1話を観た時は、世界観についていくのに必死だったけれど、観れば観るほどのめりこんでいって、先にも述べたように長い映画を観ている気持ちになった。以下は冒頭のあらすじである。

大戸アイはオッドアイで不登校の少女。ある深夜家から忍びだし散歩に出かけた先で、謎の卵(エッグ)を手に入れる。気になったアイは翌日また出かけようとするが、玄関はなぜか学校の校舎につながっていた。

校舎で持っていたエッグが割れる。中から出てきたのはアイと同い年くらいの女の子、くるみ。2人はなぜか気味の悪い怪物たち(ミテミヌフリ)たちに攻撃され逃げ惑う。しかしアイはくるみだけが攻撃の的になっていることに気づき、謝りながら逃げてしまう。

しかし校舎屋上には、亡くなったアイの親友小糸が彫像の姿で立っていた。小糸は、アイがあっていたいじめの身代わりになった挙句、飛び降り自殺をした。アイは「見て見ぬふり」という同じ過ちを繰り返さないよう、敵に立ち向かうことを決める。

アイが敵をなんとか倒すことができると、くるみは消えてしまう。が、くるみもまた、元から亡くなっていた。ワンダーエッグの世界でアイが敵を殺したことで「成仏」したのだろうか。

エッグから生まれる「死んだ少女」たち。実は化物たちは、彼女らのトラウマが具現化した存在である。化物を倒すと、彫像が少しずつ温度をもつ。その彫像は、現実世界で自分と深く関わりがある死人だ。蘇るという確証もないが、彼女達はエッグを手に入れて、自ら戦い続ける。

…いかがだろうか。物語自体が、かなり哲学的な比喩になっていると思う。2話以降、さらに3人の主要登場人物が現れるが、アイを含む4人の少女達はみな、(少なくとも行動上は)「自分を置いて死んでしまったあの子」を救うために戦う。しかしそのためにすでに死んだ無関係な少女達を巻き込んでいるかもしれない。彼女らに時に怖い思いや悲しい思いをさせることがあろうとも、トラウマを殺すのだ。

エゴと理不尽にまみれて、4人は少女として、少女を救うために、少女のわだかまりを力技で潰していく。この物語はいったいどこに帰着するのか。心から楽しみである。

 

ところで、丸屋が大学の放送サークルで学んだことの1つに、「それぞれのメディア固有の制限があること」がある。CGを使わないならば、実写映像は物理的に可能なことしかできないし、「撮影できる」作品にしなければならない。ボイスドラマなら音だけだから縛りがないように思えるし、実際舞台や設定はどんなものでも可能だが、視覚だと一瞬でわかるものでも音で全て表現しなければならない。こうした制限の中でやっていくのは1つの醍醐味でもある。

しかしアニメ作品というのは、「予算」・「人」といった全ての作品作りに共通する条件を除けば、縛りがないのではなかろうか。極論、絵と音で全ての世界がコントロールできる。だからこそ、全てがスタッフの技量による。

この作品は、技術的にすぐれた人たちが、新しい芸術を作り上げていると思う。今後さらに細かい考察を加えていきたい。今日はここまで。

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