東浩紀『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』 

東浩紀『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』中央公論新社、2020年


Kindle版¥880、新書¥946

「ゲンロン」がどんな会社なのか。なぜ東浩紀さんは「ゲンロン」を始められたのか。今まで、そしてこれから「ゲンロン」はどのように展開していくのか。その全貌が語られる一冊を、ついに手に入れた。

経営難や危機を何度も味わってきた「ゲンロン」。「知」の観客を育てるために、言葉という諸刃の剣を駆使して、新しいプラットフォームを形成してきた。批評誌の創刊、討論の配信とコミュニティの形成、ツアー実施やスクール運営。ただ一方的にコンテンツを供給するメディアとは違う姿がそこにある。

また、コロナ禍にあたっては少し影をひそめているものの、「誤配」もゲンロンの特徴という。プロジェクトが進んでこそ、その場に人が揃ってこそ生まれる偶然がある。イベントひとつとっても、雑談に種があるものだ。東さんがおっしゃっているように、オンラインで授業を配信し課題を出して「大学」が成立する、という主張はこれいかに、と私も思う。お世話になったある先生も卒業式の日に「雑談における収穫が思った以上に大きかったのだと気付かされた」とおっしゃっていた。

今私は学生という身分も会社員という身分もなく、これがあまりに落ち着かないので驚いている。なんのコミュニティにも属さず、一人もくもくと情報収集を続けていると、時々自分がどこにいるのかわからなくなる。同じことに関心を持った仲間がいるというのは重要なことで、「ゲンロン」はその性格上高確率でそれが達成される場所なのだろうと思った。

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