岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』

岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』PHP新書、2018年

「オタキング」こと岡田斗司夫さんが、AIの発達や価値観の多様化に伴って変わりゆく「職業」について語る一冊。コロナ禍前に書かれたものゆえ、少し状況が異なることもあるとは思うけれど、新しい時勢を存分に踏まえながら未来予測していくのが爽快。

タイトルがよく目を引くが、ユーチューバーについて終始議論しているのではなく、あくまで「今一番注目の職業としての「ユーチューバー」さえ、いずれはAIや変わりゆく価値観で淘汰されてしまう」、という有力な例である。

さてAI、人工知能、機械(人に作られたシステム)はどのように人に影響を及ぼすのか。

本の中で紹介されていた『未来のイヴ』は早宮も読んだことがあった。人造人間かつ機械仕掛けのハダリーを造ったエジソンがこのような話をしていたのが印象に残っている:「話をする」、「恋人になる」、「愛し合う」…これらは別に人間にしかできないことではない。人とていつも決まった範囲で言葉の応酬をしているだけだ。人は一人一人が「唯一無二」で「創造的」なのか?悲しいが肯定しきれない。例えば「人らしきもの」に言葉を投げかけたとして、意識的にしろ無意識的にしろ求めている言葉が返って来れば、人は相手に自我があり、会話をしていると思い込んでしまう。自我とはなんとも曖昧で、頼りなく、儚いものなのである。

ヴィリエ・ド・リラダン、高野優(訳)『未来のイヴ』 これは現実か夢か。現在か未来か。本物か偽物か。人か、物か。

つまり少なくともAIは、例え自我や感情がなくたって、「あると思わせる」ことができる。(筆者はそれを楽しむ気でいるらしいが早宮はまだ慣れなさそう。)人間が思っているよりもはるかに広い範囲をAIが担えるようになる。なんなら仕事だけじゃなく、家庭の中までAIがメインになる。そんな社会がもう間近に迫っているのだ。

※『ノヴァセン』も参照されたい。

ジェームズ・ラブロック、藤原朝子(監訳)、松島倫明(訳)『ノヴァセン <超知能>が地球を更新する』

 

では生活の多くをAIが占めるとして、どんな人間が生き残れるのか…仕事でいうと、どんな時代でも評価されるような突き抜けた人、常に「今リアルタイムで必要とされる仕事」に敏感な人、うまくいっている人につく人、幸運にも実質必要ない仕事を続けられる人、あるいは割り切って、生き抜くために手段に拘らない人(複数のフィールドにまたがって仕事をする、国からの援助を受けるなど)。

早宮は本書を読み正直不安しかないけれど、筆者は奇天烈な未来に期待を寄せていて、他の読者の皆様の感想もぜひお聞きしたいところ。ともかく読みやすく興味深い新書であったことは間違いない。

 

追伸 第4章「アイドルは新時代の貴族になる」を読んで思い出したのだが、「あんさんぶるスターズ!」でEdenに所属する乱凪沙は、この現代日本で争いの必要がない絶対的な特権階級になるためにアイドルを目指している。(ズ!第三部プロローグより)

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